ワンルームマンション投資に節税効果はある?節税の仕組みや注意点・効果を得やすい人の特徴を解説!

ワンルームマンション投資に節税効果はある?節税の仕組みや注意点・効果を得やすい人の特徴を解説!

ワンルームマンション投資は、上手に活用すれば、節税にもつながる可能性があります。特に、一定の条件を満たす人にとっては有効な節税手段になるでしょう。ただし、ワンルームマンション投資で節税効果を得るには、仕組みの理解と慎重な活用が必要です。本記事では、節税の仕組みやメリットだけでなく、リスクや投資に向いている人の特徴まで詳しく解説します。

ワンルームマンション投資で節税できる税金の種類は?

不動産(賃貸)の相続

ワンルーム投資は、家賃収入などによる資産形成だけでなく、税金対策としても有効な手段の1つです。特に、以下の税金に対しての節税効果が期待できます。

  • 所得税・住民税
  • 相続税
  • 贈与税

ただし、税目ごとに節税の仕組みや影響は異なるため、どの税金に関係し、どのような対策が可能なのかを正しく理解しておくことが重要です。次の章では、それぞれの税金に対してワンルームマンション投資によるどのような節税が可能なのかをより詳しく解説します。

【税金別】ワンルームマンション投資よる節税の仕組み

ワンルームマンション投資では、対象の税金により節税の仕組みが異なります。

税金

主な節税の仕組み

所得税・住民税

損益通算や経費計上による所得圧縮

相続税

評価額の圧縮・小規模宅地等の特例適用による課税価格の減少

贈与税

評価額の圧縮による課税価格の減少

「損益通算」は、家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得が赤字になった場合に、赤字分を他の所得と相殺できる制度です。

「経費計上」には減価償却費や管理費、修繕費、ローン利息、初期費用(不動産取得税や登記費用など)も含まれます。これらを適切に計上することで不動産所得を圧縮でき、赤字額を増やせるため節税につながるといった仕組みです。

次からは、上に挙げた税金をどう具体的に節税するのかをまとめました。

関連記事:損金と経費の違いとは?損金算入・不算入の考え方も解説 

所得税・住民税の軽減

ワンルームマンション投資を行えば、「損益通算」を使い、所得税や住民税の負担を減らせる可能性があります。

例えば、家賃収入から必要経費を差し引いた結果、不動産所得がマイナスになった際に、赤字分を給与所得などのプラスの所得と相殺し、課税所得を圧縮します。結果的に、課税対象となる所得が少なくなり、所得税や住民税の納税額が軽減される仕組みです。

特に、所得税は、所得が高いほど税率も上がる「累進課税制度」のため、損益通算による節税効果も大きくなります。

例:

課税所得が700万円の給与所得者が、ワンルームマンション投資で100万円の不動産所得の赤字を出した場合

  • 課税所得は600万円に圧縮される
  • その差額100万円に対する節税効果が得られる

つまり、「給与の課税所得700万円-赤字100万円=600万円」となり、100万円部分の所得税と住民税が削減されるのです。住民税も所得税と同様「損益通算」によって課税所得を減らせば、所得割の節税が可能です。

特に、購入初年度は不動産取得税や登記費用などの初期費用が多額になるため、経費計上により不動産所得が赤字になりやすく、所得税・住民税の節税効果が高くなる傾向があります。

関連記事:不動産投資で経費にできるもの・できないもの 

相続税の軽減

相続税の節税対策としてワンルームマンション投資が有効な理由は、現金を不動産に替えることで相続税評価額を圧縮できる可能性があるためです。

不動産の相続税評価額は購入価額や時価よりも2~3割ほど低く評価されるのが一般的です。さらに、その不動産を賃貸に出していれば、評価額はさらに下がり、現金・預貯金で相続するよりも、大幅に相続税を抑えられる可能性があります。

また、相続したワンルームマンションに小規模宅地等の特例を適用できれば、土地部分の相続税評価額を最大で50%減額できます。

このように、現金を不動産に変えて相続すれば、課税対象額を減らし、相続税の負担を軽減できるのです。ただし、相続税の計算は複雑なため、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

贈与税の軽減

贈与の際にも、現金より不動産の方が評価額が低く抑えられるため、同様に節税効果が期待できます。

現金を贈与すると全額が贈与税の対象になりますが、不動産の場合は相続税評価額で判断されるため、課税対象額が少なくなるのが特徴です。特に、ワンルームマンションは専有面積が小さく、土地の持分割合も少ないため、評価額は下がる傾向にあります。

「相続時精算課税制度」を活用すれば、2,500万円の贈与については非課税となるケースもあることを覚えておきましょう。ただし、この制度を使うと将来的な相続税に影響があるため、計画的な活用が必要です。

なお、「小規模宅地等の特例」は相続時のみで、贈与税の際には適用されません。贈与税に加え、不動産取得税もかかりますし、登録免許税の税率も上がるため、専門家への相談は必須と言えるでしょう。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

ワンルームマンション投資で節税する際の3つの注意点

ワンルームマンション投資は節税効果が期待できる一方で注意すべきポイントもあります。「節税になるから」と安易に始めてしまうと、かえって損をしてしまう可能性も。投資前に、以下の注意点を把握しておくことが重要です。

空室による家賃収入の減少リスク

不動産投資において「空室リスク」は、節税効果を打ち消してしまう大きな要因となるものです。特にワンルームマンション一戸のみを運用する場合、入居者がいなければ家賃収入はありません。

それでも、月々のローン返済や管理費、固定資産税などの支払いは発生するため、自己資金での対応が必要になり、深刻な赤字に陥る可能性もあるでしょう。

近年は新築物件の供給の増加や人口減少などにより競争が激化しており、入居者の確保が難しくなるケースも多い傾向にあります。空室が長引けば物件の評価も下がり、将来売却する際の損失につながるリスクにもつながります。

特に以下のような物件は空室リスクが高まるだけでなく、家賃の値下げを余儀なくされる可能性もあり、想定していた収益が得られなくなることも。

  • 築年数が古い
  • 駅から遠い
  • 部屋が極端に狭い

節税だけを目的に投資するのではなく、将来的な入居ニーズや地域性、管理体制まで見据えた物件選びと維持管理が重要です。

関連記事:家賃収入の税金はいくら?不動産投資の節税対策を解説 

融資の審査に通らない恐れがある

不動産投資では初期費用が高額になりやすく、融資の利用が一般的です。この際注意したいのが、所得税や住民税の節税を目的として会計上の赤字を作り出している場合です。

たとえ、会計上の赤字であっても、金融機関から見れば「収益性が低い」「財務状況の悪化」と判断される恐れがあります。その結果、物件の購入を検討しても、融資の審査に通らなくなることもあるでしょう。

特に、以下のようなケースでは注意しましょう。

  • 将来的に複数の投資用ワンルームマンションの購入を検討している
  • 修繕費などの突発的な支出に備える余裕がない
  • 今後も融資を利用する前提で投資を進めたい

そのため、節税による赤字が足かせとならないよう「融資を受けにくくなるリスク」を見越した資金計画が重要です。また、金融機関との信頼関係を築くことも、将来の投資拡大において大きなポイントになります。

関連記事:投資でのマイナス分は確定申告で節税できる?申告義務ややり方を解説

相続トラブルが起きる恐れがある

ワンルームマンション投資は、相続税を抑える有効な方法の1つである一方で、相続トラブルの火種になるリスクもあるため注意が必要です。

不動産は現金と違い、簡単に分割できないという特性を持ちます。相続税の評価額は現金より低くなるため節税効果は見込めますが、その不動産を「誰が・どう受け取るか」で揉めてしまうリスクもあるのです。特に以下のようなケースでは注意しましょう。

  • 共有名義にした場合:売却や管理方針で意見が食い違い、トラブルに発展する
  • 特定の相続人だけが相続する場合:他の相続人が不公平さを感じ、遺産分割協議が難航する可能性がある
  • 換価分割(売却して現金化)しづらい場合:市場価値やタイミングによって売却が難しく、遺産の分配が進まない

こうしたトラブルを避けるためには、生前のうちに遺言書を作成したり、家族信託を活用したりなど、税理士などの専門家と相談しながら進めることが大切です。

関連記事:生前贈与で受け取った土地・不動産を売却する場合の税金・費用とは? 

ワンルームマンション投資が節税になりやすい人の特徴は?

ワンルームマンション投資による節税効果は、誰でも同じように得られるわけではありません。実際には、収入や資産状況など、一定の条件を満たす方ほど効果を実感しやすくなります。

なかでも、次のような特徴に当てはまる方は、ワンルームマンション投資を通じてより効果的に節税できる可能性が高いと言えるでしょう。

高額な所得がある人

年収の高いサラリーマンは、ワンルームマンション投資による節税対策を特に実感しやすい層です。日本の所得税は累進課税制度であるため、所得が増えるほど税率も上がります。例えば、課税所得が900万円を超えると所得税率が33%にもなり、税負担が一気に重くなります。

このような高所得者がワンルームマンション投資による不動産所得が赤字になった場合、その赤字を給与所得と損益通算することで、課税所得を圧縮可能です。結果的に、本来高い税率が適用されていた部分の税負担を減らせ、節税効果を実感できるでしょう。

特に、物件購入初年度は取得税・登記費用・減価償却費など多額の経費を計上できるため赤字が出やすく、節税メリットが最大化されやすいタイミングと言えます。また、長期的に見れば節税だけでなく家賃収入による利益も期待でき、資産形成の手段としても魅力的です。

一時的に収入が増加した人

ストックオプションの行使や副業の成功により一時的に大きな収入が発生したサラリーマンや個人事業主にとっても、ワンルームマンション投資は有効な節税対策になり得ます。

収入が急増した年は通常よりも高い所得税率が適用され、翌年の住民税も大幅に増加します。ワンルームマンション投資は、こうした一時的な税負担を軽減する方法の一つです。

初年度に発生する不動産取得税や登記費用などの諸費用を経費として計上できるため、不動産所得が会計上赤字になりやすくなります。この赤字を、その年に増加した給与所得や事業所得と損益通算すれば課税所得が圧縮され、税負担を減らせるでしょう。

さらに、課税所得が減れば、翌年以降の税金負担も抑えられます。ただし、節税効果は購入初年度に集中する傾向があるため、赤字作りを主目的とした場合には運用リスクやキャッシュフロー悪化にも注意が必要です。

物件選びの際は、2年目以降も安定した家賃収入を見込めるかどうかも重要な判断材料となります。短期的な節税だけでなく、長期的な視点で収益性・資産価値を十分に吟味しましょう。

相続税や贈与税の負担を減らしたい人

相続税や贈与税の対策を考えている人にとっても、ワンルームマンション投資は有効な選択肢です。現金を不動産に変えて相続・贈与することで、課税評価額を抑えられるからです。

不動産は、相続税や贈与税の計算において、一般的に時価よりも低い「評価額」で算出されます。特に賃貸物件であれば評価額はより下がる傾向にあるため、節税効果が一層高まります。

ただし、不動産は現金のように簡単に分けられる資産ではないため、遺産分割の際にトラブルが生じる可能性もある点は把握しておかなければなりません。特定の相続人に不動産を渡す場合や、共有にする場合などは、生前から家族間で話し合いを持ち、遺言書の作成や信託の活用を検討するとよいでしょう。

相続対策としてワンルームマンション投資を活用する場合は、税務・法務の両面からの対策が必要になるため、事前に専門家へ相談しながら進めることが大切でしょう。

まとめ

ワンルームマンション投資は、正しく活用すれば、所得税・住民税、相続税・贈与税などの節税につながる有効な手段です。特に、高所得者や一時的に収入が増加した人、相続税や贈与税の負担を軽減したい人にとっては、大きなメリットが期待できるでしょう。

節税の基本的な仕組みは、不動産所得の赤字を他の所得と相殺する損益通算や、減価償却費などの経費計上の活用です。ただし、空室による収入源や融資審査への影響、相続時のトラブルといったリスクもあるため、節税効果だけにとらわれず長期的な視点で慎重に判断しなければなりません。

節税対策についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。