贈与税がかからない方法|基本の非課税制度と7つの特例を徹底解説!
相続税の節税対策として生前贈与を検討する方は多いですが、贈与の方法を誤るとかえって税負担が増す可能性があります。
この記事では、贈与税がかからない8つの非課税の仕組みや、2024年の税制改正で導入された「7年加算ルール」の注意点まで、税理士が分かりやすく解説します。
目次
そもそも贈与税とは?知っておくべき基本の仕組み
贈与税は、個人から財産を無償で受け取った際に、受け取った側(受贈者)に対して課税される税金です。血縁関係の有無にかかわらず適用されますが、「相続税」と比較すると税率が高く設定されている点が特徴です。
贈与税を非課税にするための対策を講じるには、まず贈与税の課税方式である「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類の仕組みを理解することが、節税対策の第一歩となります。
暦年課税制度(基本的な課税方式)
暦年課税制度は、贈与税の基本的な課税方式です。1月1日から12月31日までの1年間で、受贈者(財産を受け取った人)が受け取った財産の合計額から、基礎控除額を差し引いた残りの金額に対して課税されます。
暦年課税には、受贈者一人あたり年間110万円の「基礎控除」が設けられています。この基礎控除の範囲内で贈与を受ける場合、贈与税はかからず申告も不要です。
贈与税の速算表(税率と控除額)
贈与税の税率は、贈与者と受贈者の関係性によって「特例税率」と「一般税率」の2種類に分かれています。
1. 特例贈与財産(直系尊属からの贈与)
贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の子や孫が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に適用されます。一般税率よりも税率が優遇されています。
【特例税率(特例贈与財産用)】
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
| 200万円以下 | 10% | - |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
2. 一般贈与財産(上記以外の贈与)
夫婦間や兄弟姉妹間、または18歳未満の子や孫への贈与、友人などからの贈与に適用されます。
【一般税率(一般贈与財産用)】
| 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
| 200万円以下 | 10% | - |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
暦年贈与の注意点:定期贈与とみなされないために
暦年課税の基礎控除を利用して毎年贈与を続ける場合、税務署から「定期贈与」とみなされるリスクがあります。
定期贈与と判断されないための対策として、以下の対応が重要です。
- 贈与契約書を作成する:贈与の都度、双方の合意があったことを証明する書類を保管します。
- 贈与額や時期を変える:毎年同じ金額・時期に贈与するのを避け、変化をつけます。
- 銀行振込を利用する:履歴を明確に残し、現金手渡しは避けましょう。
【制度別】贈与税を非課税にする7つの特例

暦年課税の基礎控除以外にも、特定の目的で贈与税が非課税となる特例制度が存在します。これらは高額な財産を移転する際に有効です。
1. 相続時精算課税制度の基礎控除(2024年改正)
2024年(令和6年)1月1日の税制改正により、この制度に年間110万円の基礎控除が新設されました。これにより、110万円以下の贈与は相続財産に加算する必要がなくなり、利便性が大幅に向上しました。
2. 夫婦間の居住用不動産の贈与の特例(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産などを贈与する場合、基礎控除110万円のほかに2,000万円までが非課税になります。合計で最大2,110万円まで非課税となります。
3. 生活費・教育費としての贈与
日常生活に必要な費用は、その都度、直接充てるために贈与された場合に限り、非課税となります(貯蓄目的は対象外)。
4. 教育資金の一括贈与の特例
30歳未満の子や孫に対し、教育資金を一括で贈与する場合、受贈者一人あたり1,500万円まで非課税となります。
5. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例
18歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚・子育て資金を一括で贈与する場合、一人あたり1,000万円まで非課税となります。
6. 住宅取得等資金の贈与の特例
マイホーム取得のための資金贈与が、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで非課税となります。
7. 特定障害者扶養信託
特定の障害を持つ方を扶養するための信託で、最大6,000万円(特別障害者の場合)まで贈与税が非課税となります。
2024年の税制改正で変わった「生前贈与加算の7年延長ルール」を理解する

相続税対策として贈与を行う際、最も注意すべきなのが「生前贈与加算(持ち戻し)」の期間延長です。
加算期間が「7年」に延長
これまでは亡くなる前3年以内の贈与が相続税の対象でしたが、2024年以降の贈与から段階的に7年に延長されます。これにより、亡くなる直前の駆け込み贈与による節税が難しくなりました。
延長された4年間(4年~7年以内)については、総額100万円までは加算されない緩和措置がありますが、早期からの計画的な贈与がより重要となっています。
贈与税の申告方法と期限
贈与税の申告は、財産を受け取った翌年の2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地を管轄する税務署へ行います。特例を利用する場合、税額が0円であっても申告が必要なケースが多いため注意が必要です。
| 対象となる制度・特例 | 申告が必要なケース |
| 暦年課税 | 年間の贈与合計が110万円を超える場合 |
| 配偶者控除(おしどり贈与) | 特例適用を受けるなら、基礎控除内でも必ず申告 |
| 相続時精算課税制度 | 制度を選択する場合、初回の贈与時に必ず申告 |
| 各種非課税特例 | 教育・住宅・結婚資金などの特例を受ける場合 |
贈与税・相続税を確実に軽減するためには専門家への相談を
非課税特例を上手に活用することで、将来の相続税負担を大幅に軽減できます。しかし、各特例には厳格な要件があり、特に「7年延長ルール」の導入により長期的な視点での対策が不可欠となりました。
確実な節税効果を得るためには、相続税と贈与税の両方に精通した税理士に相談し、最適な贈与プランを立てることをおすすめします。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。








