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タワマンで節税は可能?タワーマンション節税の仕組みや最高裁まで争った相続税事例についてご紹介

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タワマンで節税は可能?タワーマンション節税の仕組みや最高裁まで争った相続税事例についてご紹介

タワーマンションを購入することは、相続税対策として有効であることをご存知でしょうか。この「タワマン(タワーマンション)節税」は、大幅な節税効果が期待できるため国が規制を強化しようとしていますが、現在も実践している方が多い節税方法です。今回は、タワマン(タワーマンション)節税の仕組みや注意点について、最高裁まで争った相続税事例なども含めてわかりやす

タワマン(タワーマンション)節税とは

タワマン(タワーマンション)節税とは、主に物件の購入価格と相続税評価額の差額を利用することによって、相続税の負担を大幅に抑えるための節税方法です。相続税は、故人の所有していた相続財産の額(相続税評価額)に対して課されますが、国税庁が定めた基準によって評価されます。

つまり、相続税の負担を抑えたいのであれば、相続税評価額が低くなるように生前から対策しておく必要があるというわけです。2015年に相続税の基礎控除額が引き下げられたこともあり、タワマン(タワーマンション)節税は相続税対策の一種として注目されています。

タワマン(タワーマンション)の節税効果

相続税対策になる可能性がある

相続財産の評価において預貯金や株式などは時価のまま評価されますが、不動産の相続税評価額は時価に比べて大幅に低くなる傾向にあります。なかでも、タワーマンションは時価と相続税評価額の差額が大きいため、相続税の大幅な節税効果が期待できるでしょう。

また、タワーマンションの敷地の相続税評価額は、敷地全体の評価額を部屋の床面積に応じて按分して計算します。タワーマンションは戸数が多いため、一部屋あたりの敷地の相続税評価額も低くなる傾向にあるのです。そのため、相続税評価額と時価の差額が大きくなりやすく、高い節税効果を得られる可能性があります。

固定資産税対策にもなる可能性がある

タワマン(タワーマンション)節税は、相続税のほかに固定資産税対策にもなる可能性があります。固定資産税には、200㎡以下の狭い住宅地に対する割引特例制度があります。固定資産税は不動産の評価額に対して1.4%が課せられることになっていますが、200㎡以下の狭い土地に関しては固定資産税が1/6以下になるという規定があるのです。

上述のとおり、タワーマンションの敷地は敷地全体の評価額を戸数で割った価格になるため、敷地の固定資産税は1/6になるケースがほとんどです。

小規模宅地等の特例を活用できる

小規模宅地等の特例とは、一定の要件に該当する場合に土地の評価額が80%下がり、土地に課せられる税金を大幅に削減できる制度です。タワーマンションの場合、この小規模宅地等の特例を活用することができます。タワーマンションの敷地は相続税評価額自体も低くなっていますが、この特例を活用することによってさらに評価額を下げられます。

タワマン(タワーマンション)の節税の仕組み

相続税評価額が下がる

タワマン(タワーマンション)を購入することによって、財産をすべて現金で保有している場合よりも相続税を節税することが可能です。上述のとおり、相続財産をすべて現金で相続した場合には「金額=相続税評価額」となります。しかし、タワーマンションの相続税評価額は、時価よりも低く算出されることが一般的です。

実際に、国税庁が2011年~2013年に売買されたタワーマンションの評価額を調査したところ、評価額の平均は「時価の30%程度」という結果が出ています。このことからも、相続税対策としてタワーマンションを購入することは有効といえるでしょう。

高層階であるほど相続税評価額は下がる傾向がある

タワマン(タワーマンション)の市場価格は、高層階になるほど高額になります。しかし、建物自体の相続税評価額は、床面積が同じであれば階数に関わらず同額です。また、敷地の評価額は敷地全体の評価額を戸数で割ることで算出するため、総戸数が多いタワーマンションほど評価額が低くなります。

このことから、タワーマンションは高層階であるほど市場価格と相続税評価額の差額が大きくなるため、高い節税効果が期待できるといえるでしょう。

具体的な計算の事例

タワマン(タワーマンション)節税による具体例として、仮に現金で1億円を相続するとしましょう。現金であれば1億円がそのまま相続税評価額となりますが、1億円のタワーマンションを購入すれば相続税評価額は約3,000万円まで圧縮することが可能です。

そして、相続財産を3,000万円で申告した後にタワーマンションを1億円で売却すれば、差額である7,000万円を無税で相続できたことになります。このように、タワマン(タワーマンション)節税は相続税評価額と時価に差額があることに注目し、高額な物件を安い評価額で申告する方法です。

ただし、この計算はタワーマンションの時価が変わらないことを前提とした例であり、実際の計算とは異なることに注意しましょう。

タワマン(タワーマンション)節税は税制改正されている

2017年に税制改正

2017年の税制改正において、タワマン(タワーマンション)の固定資産税の評価方法が見直されました。先程、タワーマンションの固定資産税は、床面積が同じであれば高層階か低層階かに関わらず同額であるということを述べました。

しかし、「高層階の物件のほうが高額にも関わらず、低層階と固定資産税が同額なのはおかしい」という意見があったため、階層が上がるにつれて固定資産税の負担が増加するという改正が行われたのです。

なお、タワマン(タワーマンション)節税の主な目的である相続税対策に関しては税制が強化されていないため、相続税対策としてタワーマンションを購入するという選択肢は未だ有効といえるでしょう。

2022年12月〜税制改正による相続税の見直しが行われている

2022年12月、タワマン(タワーマンション)節税の主な目的である相続税対策において、相続税評価額の算出方法の見直しが行われること決定しました。国税庁は、税負担の公平性という観点から、タワーマンションの高層階になるほど相続税評価額も高額になるという算出方法を検討中です。今後は固定資産税のみならず、相続税の大幅な圧縮も困難となる可能性があるため、タワマン(タワーマンション)節税を検討している方は税制改正に注意しましょう。

注目されているタワマン裁判の最高裁判決とは

経緯

タワーマンションを時価ではなく「路線価方式」で評価して相続税申告を行ったところ、国税庁がこの評価方法は著しく不適当であるとし、これに不服を申し立てた相続人との間で起こった「タワマン裁判」。この裁判が起こった経緯は、以下のとおりです。

  • 被相続人が、亡くなる3年前に東京都杉並区のマンションを約8億3,700万円、神奈川県川崎市のマンションを約5億5,000万円で購入。
  • 相続発生後、相続人は「路線価方式」によって不動産を評価し、杉並区のマンションを約2億円、川崎市のマンションを約1億3,400万円と評価。被相続人が当該マンションの購入費用として約10億円の融資を受けていたことから、相続人は0円で相続税を申告。
  • これを不当と判断した国税局は不動産鑑定による実勢価格を調査し、杉並区のマンションは約7億5,400万円、川崎市のマンションは約5億1,900万円と評価。0円で申告をしていた相続人に対して、追徴課税約3億円の更正処分を行う。
  • 相続人はこの更正処分に対して不服申し立てし、訴訟となる。2019年8月の1審では、東京地裁判決で国税局側が勝訴。
  • 2020年6月の2審、東京高裁判決も1審の判断を維持。
  • 2審の判断を受け、相続人側は最高裁に上告。2022年3月15日、最高裁第3小法廷にて上告審弁論が開かれる。
  • 2022年4月19日、最高裁判決にて国税側が勝訴。

納税者が敗訴した理由

  • 相続税申告が0円だった

今回の事例では、購入価格が合計で13億8,000万円のタワーマンションを、路線価方式で評価することによって約3億3,000万円まで評価額を圧縮して節税しようとしました。また、被相続人はタワーマンションの購入資金として銀行から融資を受けていたため、債務控除と基礎控除を適用することで相続税を0円で申告しています。

  • 金融機関からの借入金が節税目的だった

被相続人はタワーマンションの購入資金として銀行から融資を受けていましたが、その際に作成された貸出稟議書に、融資を受ける目的として「相続税対策のため」と記載されていました。明らかに相続税対策としてタワーマンションを購入したことが判明したことも、相続人側が敗訴した要因のひとつといえるでしょう。

タワマン裁判からわかる節税の注意点とは

タワマンスキームと呼ばれる節税方法には注意が必要

タワーマンションは人気のある物件ですが、今後はいわゆる「タワマンスキーム」と呼ばれる節税方法に注意が必要です。タワマン裁判のように路線価方式で物件を評価する前に、「不動産鑑定による実勢価格」を調査し、どれくらいの差額があるのかを確認しておく必要があるかもしれません。

また、今回の判決のように、行き過ぎた節税スキームを否認する事例が多くなっています。タワマン節税も例外ではなく、今後は国税局のチェックも厳しくなっていくことが予想されるでしょう。

金融機関からの借入れには節税以外の合理的理由と借入目的が必要

タワマン裁判で相続人側が敗訴した要因のひとつに、明らかな節税目的で銀行から融資を受けていたことがありました。金融機関から融資を受けてタワーマンションを購入する場合には、相続税などの節税以外に、合理的な理由と借入目的が伴わなければなりません。これからローンを組んでタワーマンションを購入したいと考えていた方は、借り入れの目的や理由に注意しましょう。

タワマン節税は投資リスクが伴う

タワマン節税は、相続税評価額と時価に差があることに着目することで、相続税の負担を抑えられるというメリットがあります。しかし、タワマン節税は「購入した物件の市場価格が変動しないこと」を前提としたスキームです。つまり、たとえ相続税評価額が低かったとしても、タワーマンション自体の価値が下落した場合には損をしてしまうリスクがあります。

相続税を1,000万円節税できたとしても、タワーマンションの市場価格が2,000万円下落してしまっては元も子もありません。タワマン節税を行う際は「相続税は節税することができたが、それ以上に資産が減少してしまう」という投資リスクが伴うことを理解しておきましょう。

タワマン節税の課税強化の動きがある

タワマン節税が注目を集めたことで、このスキームを利用した「度を超えた節税」が頻発しています。それによって国税局によるチェックが厳しくなり、現在は課税強化の動きがなされています。亡くなる直前にタワーマンションを購入し、相続後すぐに売却していると、課税強化の対象になる可能性が高いといえるでしょう。

また、上述したタワマン裁判のほかにも、相続したタワーマンションをめぐって国税局から追徴課税を受けたケースもあります。そちらの経緯は以下のとおりです。

  • 被相続人が亡くなる1か月前に、親族が代理人となって約3億円のタワーマンションを購入(被相続人は当時入院しており、判断能力のない状態)。
  • 相続開始後、相続人はタワーマンションの評価額を6,000万円として相続税を申告。
  • 相続した4か月後に、購入価格である3億円とほぼ同額でタワーマンションを売却。
  • 「判断能力のなかった被相続人に無断で契約したこと」や「節税目的で短期間だけ所有したタワーマンションを、通達で評価することは不公平」といった理由から、相続人に追徴課税が課せられた。

2017年以降に購入されたタワマンには固定資産税の改正が適応される

税制改正によって、2017年4月1日以降に売買されたタワーマンションは、固定資産税の改正が適用されることになりました。これによって、高層階になるほど固定資産税の負担が増加することになります。ただし、2017年以前に建てられたタワーマンションであれば、2018年以降に中古で購入したとしても固定資産税の計算方法は以前のままです。

タワマン(タワーマンション)節税でお悩みの場合は専門家に相談を検討

今回は、タワマン(タワーマンション)を購入することで得られる節税効果や仕組み、最高裁まで争った注目の裁判事例などをご紹介してきました。今後、タワマン節税を行うために重要な相続税評価基準や通達内容の見直しが行われる可能性があります。タワマン節税が相続税対策として有効であることは事実ですが、今後の税制改正には注意しておきましょう。また、タワマン節税について悩みや不安があるという方は、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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