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≪相続税の税務調査≫時期や調査割合、何年遡って調べられる?体験事例もご紹介

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≪相続税の税務調査≫時期や調査割合、何年遡って調べられる?体験事例もご紹介

相続税を申告した場合、税務署によって相続税の税務調査が実施される場合があります。税務調査に対して不安を覚える方も多いかもしれませんが、正しく相続税の申告をすることができれば、税務調査が実施されるリスクを抑えることが可能です。そこで、この記事では相続税の税務調査に関す基礎知識や、何年遡るのかといったポイントを詳しく解説していきます。

相続税の税務調査とは

相続税の申告内容に誤りがある場合や、申告内容を故意に改ざん・隠蔽した疑いがある場合、税務調査が実施される場合があります。日本では、納税者が自主的に納税額を申告する「申告納税制度」が採用されていますが、必ずしも申告内容が正しいとは限りません。そこで、申告内容に不備がないか確認するために税務調査が行われています。

相続税の申告後に税務調査が入る可能性は十分にあり得るため、調査が実施された場合にもきちんと対応できるよう、本稿で基礎知識を身につけておきましょう。

なぜ相続税があるのか

親族が亡くなってしまったとき、その方が生前に有していた財産について相続が発生します。そして、相続財産の額によっては承継した相続人が相続税を納めなければなりません。ここで注意しなければならないのが、相続が発生したとしても「必ず相続税の納付義務が発生するわけではない」という点です。相続税には基礎控除が定められており、相続財産の額が一定以下であれば相続税の納付義務は発生しません。しかし、基礎控除額を超える財産を承継した場合に、なぜ相続税を支払わなければならないのかと考える方も多いのではないでしょうか。相続税が徴収される理由は、主に以下の3つです。

所得税の補完機能がある

まず、被相続人がこれまで支払わなかった所得税を、相続税として徴収することで補完する目的があります。所得税には軽減措置や非課税措置が設けられているため、税金対策をすることが可能です。また、そもそも被相続人が基礎控除額を超えるほどの財産を築くことができたのは、それだけ税金の支払いが少なかったからであるという考え方も影響しています。このように、生前に支払わずに済んでいた所得税を、相続が発生したタイミングで清算する補完機能としての意味合いがあります。

不労所得への課税

不労所得とは、労働による直接的な対価以外に得られる収入のことです。相続によって得た財産は、相続人が労働の対価として受け取るものではないため、この不労所得に該当します。

多くの人は労働することで収入を得て、その収入から生活費や所得税などの各種税金を支払っています。よって、不労所得を得た方も税金の負担をしなければ不公平が生じてしまうことになるのです。相続税が課せられている理由には、このような不公平を解消する手段のひとつという背景もあります。

富の再分配

相続税がある理由には、富を再分配することで貧富の格差をなくすという目的もあります。仮に相続税がなかった場合、多額の財産を有する家庭は代々裕福な暮らしを続けることができるでしょう。逆にいえば、貧しい家庭は貧困から抜け出すことが困難といえます。

貴族や武家が存在したかつての日本では、一部の層に富が集中していたことによって貧富の格差が拡大していました。このような時代を繰り返さないためにも、相続税を課すことによって富の再分配を行い、格差をなくしていくという狙いもあるのです。

相続税の税務調査はどう行われるのか?

相続税の税務調査は、以下3種類の内容に分類されます。

  • 簡易な接触
    電話や書面、口頭にて申告内容の計算ミスや書類の記入漏れなどを指摘します。
  • 机上調査
    申告内容に計算ミスや記入漏れがない場合、税務署が把握している情報と申告内容を照らし合わせ、正当性を判断します。
  • 実地調査
    税務署の職員が相続人の自宅等を訪問し、質問や確認作業を行います。

税務調査というと、スーツを着た数百人もの調査官が一斉に乗り込むというイメージをお持ちの方が多いかもしれません。このような調査は強制調査と呼ばれ、国税庁査察部の調査官(マルサ)によって行われるものです。しかし、相続税の税務調査は任意調査となっており、事前通知をしたうえで税務署の職員によって行われる調査です。ある日突然、税務調査が入る可能性は限りなく低いためご安心ください。

税務調査当日は、税務署の職員2名によって調査が行われます。調査場所は基本的に亡くなった方の自宅となりますが、既に不動産を売却している場合などは相続人の自宅にて調査が実施されます。また、相続税の税務調査で対象となるのは、原則として相続人全員であることも覚えておきましょう。

税務調査当日の午前中は、相続人に対して以下のような質問が行われます。

  • 被相続人の生い立ちや職歴、月々の生活費
  • 被相続人はどのように財産を形成していたか
  • 相続人の職歴や現在の収入状況
  • 相続人の家族構成
  • 相続人と税理士の関係性(税理士に申告や立会いを依頼していた場合)

このような質問への回答で午前中は終わり、午後からは回答に対する確認作業が行われます。主に確認されるのは通帳と印鑑で、取引履歴の中で申告書に加味されていない内容がないかチェックされます。そのほか、不動産の権利書・保険証券・ゴルフ会員権なども提示を求められることがあるでしょう。

相続税の税務調査は任意調査であるため、これらの書類も同意のもと確認作業が行われます。しかし、正当な理由なく提示を拒否すると、罰金が適用されるケースもあるため注意しましょう。

書類の確認作業が終わると、税務署の職員によっては「相続財産以外の所有財産」を記載する書類が渡されます。こちらの書類に提出義務はありませんが、自分名義の財産は漏れなく記載して提出するほうが無難です。なぜなら、記入した財産に漏れが発覚した場合、その相続人が把握していない財産であることから、被相続人名義の財産であると認定される可能性があるからです。余計な疑いをかけられたくないという心理から、財産を過少に記載しないよう注意しましょう。

これらの実地調査が完了した後、調査内容をもとに精査が行われ、2週間~1か月程度の期間を経て調査結果が報告されるという流れです。

相続税の税務調査はどこまで調べるものなのか?

税務署は、納税者の申告内容に誤りがないか確認するために、独自の内部資料を用いてチェックします。この内部資料には、被相続人や相続人に関するさまざまな情報が記載されており、申告内容と照らし合わせることで入念な事実確認が行われているのです。では、相続税の税務調査では何をどこまで調べられるのでしょうか。主に調査対象となるものには、以下などが挙げられます。

預貯金や有価証券

預貯金や株式などの有価証券について、税務署は相続人の承諾を得ることなく照会をかけられる権限を有しています。また相続発生時の残高のみならず、過去数年間にわたって取引履歴を確認することもでき、生前贈与などの事実もすぐに発覚するため注意しましょう。

不動産

相続財産に土地や建物が含まれていた場合、一般的には登記名義人を変更する相続登記を行います。登記簿は法務局によって管理されていますが、相続登記に関する情報は税務署も確認することが可能です。よって、相続登記を行った不動産があるにも関わらず、申告されていない場合には記入漏れが発覚します。

タンス預金

銀行口座に預け入れずに自宅で保管しているお金、いわゆるタンス預金についても調査されます。銀行の取引履歴に記載されていなかったとしても、税務署は独自の内部資料や金融機関への調査権限を有しているため、隠すことは非常に困難です。また、実地調査で確証が得られなかった場合には、取引先などの情報を調査する「反面調査」を行い、徹底的な調査が行われます。

相続税の税務調査の時期はいつ?

一般的に相続税の税務調査が実施されるのは、相続税の申告をしてから1~2年後が目安となっています。また、相続税の時効は原則5年間となっており、申告から5年を経過すれば納税義務が消滅することになります。つまり、相続税を申告してから2年が経過すると税務調査の可能性が低くなり、5年を経過すると相続税の心配は不要といえるでしょう。

また、相続税の税務調査が実施される時期は、8~11月が多くなっています。理由としては、7月に税務署の人事異動が行われ、それから調査先の選定が行われるためです。逆に、1~3月は確定申告や年末調整の処理で税務署が忙しくなるため、税務調査が実施される可能性は低いといえるでしょう。

相続税の税務調査の時期は何年遡る?

相続税の税務調査では、基本的に被相続人の死亡日から3年間遡って調査することが多くなっています。ただし、調査を進めるうえで確認が必要な点が出てきた場合、過去5~7年程度遡って調査する場合もあります。よって、税務調査の際に用意する書類については、過去7年分の書類を事前に用意しておきましょう。

相続税の税務調査はいくら以上から調査対象になる?

相続税には基礎控除があり、相続が発生した全員に課税されるわけではありません。基礎控除は以下の計算式で求めることができ、相続財産の額が基礎控除の範囲内であれば税金を納める必要はありません。

  • 基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例えば、父が亡くなって法定相続人が妻と長男の2名だった場合、基礎控除は以下のとおりです。

  • 3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円(基礎控除)

相続税の申告を行っている場合、相続財産の額に関わらず税務調査が実施される可能性があります。とはいえ、相続財産が高額なケースのほうが税務調査を受ける可能性は高いといえるでしょう。当然のことながら、財産額が高額な案件であれば申告ミスがあったときに徴収できる相続税が大きくなるからです。

特に財産額が3億円を超えると、税務調査を受ける可能性が一気に高くなるといわれています。高額な財産を相続する方は、税務調査が実施されることを想定しておくべきだといえるでしょう。

相続税の税務調査の対象になる確率と割合

上述のとおり、相続税の税務調査は財産額が高額になるほど実施される確率が高くなります。では、具体的にどれくらいの割合で税務調査が実施されているのでしょうか。国税庁が公表している令和元事務年度のデータを参照すると、税務調査の実施状況は以下のとおりとなります。

相続財産の額

調査対象件数

調査実施件数

調査割合

5,000万円未満

79,609件

324件

0.4%

5,000万円~1億円

73,786件

2,784件

3.8%

1億円~3億円

41,815件

6,559件

15.7%

3億円~5億円

5,272件

1,669件

32.2%

5億円~7億円

1,967件

692件

35.2%

7億円以上

2,175件

877件

40.3%

※簡易な接触・机上調査・実地調査の合計

このように、相続財産の額が大きくなるほど税務調査が実施される確率は高くなり、3億円以上になると30%を超える割合になっていることがわかります。また、国税庁は富裕層の税務調査に、より注力していく姿勢を示しているため、高額な財産を相続した方は専門家に相談することをおすすめします。

相続税の税務調査の体験事例

ここで、相続税の税務調査では実際にどのようなことが起こるのか、体験事例をひとつご紹介します。税務調査によって多額のタンス預金をしていたことが発覚し、追徴課税が課せられてしまった事例です。

【事例】

夫の相続によって、不動産など約15億円もの遺産を相続したAさんは、隠蔽を目的として約5億円の財産を申告から除外しました。相続税の申告後、税務調査が実施されたことによって脱税が発覚。隠蔽した約5億円のうち、約3億円を自宅のタンスや押入れに隠していました。結果、Aさんは相続税である約2億3,000万円を脱税したとして、約3億2,000万円の追徴課税が課せられました。

このように、タンス預金によって虚偽の申告をしてしまうと、大きな損害を被るおそれがあります。たとえ少額であったとしても、きちんと申告して相続税を納付することが、自分の財産を守ることにつながるのです。

相続税の税務調査について対策したい方は専門家へ相談を検討すべき

ここまで、相続税の税務調査に関する基礎知識などを、体験事例も踏まえてご紹介してきました。財産額にもよりますが、相続税の税務調査が実施される割合は決して低くありません。よって、税務調査が実施されたとしても適切に対応できるよう、対策を想定しておくことが重要です。相続税の税務調査についてしっかり対策したという方は、専門家への相談も検討してみてください。

この記事の監修者
税理士「今野 靖丈」

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