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会社設立の基礎知識

法人・個人間における贈与の扱いの違いは?4つのパターン別に解説

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節税相談に関するイメージ

法人と個人間の贈与には、それぞれ異なる税務処理や課税方法が求められます。贈与の形式は、個人から個人、個人から法人、法人から個人、法人から法人の4つのパターンがあり、それぞれ特有のルールが適用されるため、これらの違いを理解することは、適切な税務処理を行うためには重要です。本記事で、4つの贈与パターンとそれぞれの税務処理について詳しく解説していきますので、贈与でお困りの方は参考にしてください。

法人・個人間における贈与のパターンは4つ

贈与パターン

対象課税

贈与者

受贈者

1. 法人から法人への贈与

法人税

法人税

2. 法人から個人への贈与

法人税

所得税

3. 個人から法人への贈与

譲渡所得税

法人税

4. 個人から個人への贈与

なし

贈与税

法人・個人間における贈与は、法人から法人への贈与、法人から個人への贈与、個人から法人への贈与、個人から個人への贈与の4パターンです。

そもそも贈与とは、資産を無償で譲渡することを指し、資産を譲渡する側を「贈与者」、譲渡される側を「受贈者」と言います。

4つの贈与パターンごとに、贈与者と受贈者における課税の種類や処理の仕方が異なるので、詳しく解説します。

パターン1. 法人から法人への贈与

法人設立における社会保険料のイメージ

法人から法人への贈与の場合、贈与者・受贈者ともに法人税がかかる可能性があります。以下で、贈与者・受贈者それぞれの会計上の扱いについて解説します。

贈与者である法人の処理

贈与者である法人は、「寄附金」として以下のように処理します。

例)法人Aから法人Bに現金1,000万円を贈与した場合

借方

貸方

寄附金 1,000万円

現金 1,000万円

寄附金は損金として算入できますが、損金の扱いについては、以下のように贈与先によって異なります。

損金算入の限度額を超えた金額については、法人税が課税されます。

贈与先

損金の取り扱い

国または地方公共団体

全額損金算入

普通法人、協同組合、特定NPO法人など

損金算入の限度額あり

完全支配関係がある法人

全額損金不算入

出典:No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

受贈者である法人の処理

受贈者である法人は、「受贈益」として以下のように処理します。

例)法人Bが法人Aから現金1,000万円の贈与を受けた場合

借方

貸方

現金 1,000万円

受贈益 1,000万円

贈与を受けた資産が上記のように現金や預金である場合は受取金額で計上、土地や建物などの場合は時価で計上するのが原則となっています。受贈益(金額)が大きいほど、法人税の負担が大きくなります。

パターン2. 法人から個人への贈与

法人から個人への贈与の場合、法人(贈与者)は法人税、個人(受贈者)は所得税がかかります。会計上の扱いについては、以下のように、法人と個人の関係性によって異なります。

  1. 個人が法人の従業員である場合
  2. 個人が法人の役員である場合
  3. 個人が法人と雇用関係にない場合

個人が法人の従業員である場合

個人が法人の従業員である場合、法人が行う贈与は「賞与」として以下のように処理します。

例)法人が個人に対して時価2,000万円の土地(取得額は1,500万円)を贈与した場合

借方

貸方

賞与 2,000万円

土地 1,500万円

固定資産売却益 500万円

贈与した資産は、全額を損金として算入できます。一方、個人が受け取った贈与は「給与所得」の扱いとなり、所得税が課税されます。

個人が法人の役員である場合

個人が法人の役員である場合、法人が行う贈与については「役員賞与」として以下のように処理します。

例)法人が個人に対して時価2,000万円の土地(取得額は1,500万円)を贈与した場合

借方

貸方

賞与 2,000万円

土地 1,500万円

固定資産売却益 500万円

この場合、原則として贈与した全額を損金として算入できません。役員賞与を損金として認めてしまうと、法人税の負担を軽減するための手段として濫用される可能性があるためです。

一方、個人が受け取った贈与については、先ほどと同様に「給与所得」の扱いとなり、所得税が課税されます。

個人と法人に雇用関係がない場合

個人と法人に雇用関係がない場合、法人が行う贈与は「寄附金」として以下のように処理します。

例)法人が個人に対して時価2,000万円の土地(取得額は1,500万円)を贈与した場合

借方

貸方

寄附金 2,000万円

土地 1,500万円

固定資産売却益 500万円

贈与した資産は、損金算入の限度額までは損金として算入できます。

一方、個人が受け取った贈与は「一時所得」の扱いとなり、所得税が課税されます。

参考:No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算|国税庁

パターン3. 個人から法人への贈与

節税相談に関するイメージ

個人から法人への贈与の場合、個人(贈与者)は譲渡所得、法人(受贈者)は法人税がかかります。

会計上の扱いとして、法人が受け取った贈与は「受贈益」として以下のように処理します。受贈益は、原則として時価で計上します。

例)個人から法人に時価2,000万円の土地を贈与した場合

借方

貸方

土地 2,000万円

受贈益 2,000万円

一方で個人が行った贈与は、贈与の扱いではなく、時価で譲渡を行ったとして、みなし譲渡の扱いとなり、譲渡額が取得額を上回る場合、「譲渡所得」が課税されます。

個人から法人に時価2,000万円の土地(取得額1,500万円)を譲渡した場合、差額の500万円(2,000万円ー1,500万円)が譲渡所得の課税対象になります。

パターン4. 個人から個人への贈与

個人から個人への贈与の場合、贈与者は課税対象にならず、受贈者に贈与税がかかります。これまでの解説の中で贈与税が一度も出てきませんでしたが、贈与税は、個人間での贈与が対象となっており、法人が関係する贈与には発生しません。

さらに、贈与税には以下2つの制度があります。

項目

暦年課税

相続時精算課税

対象

すべての贈与

60歳以上の親・祖父母から

18歳以上の子・孫への贈与

税率

累進課税

一律20%

非課税枠

年間110万円まで

累計2,500万円まで

課税タイミング

毎年の贈与に対して課税

生前贈与に一部課税、

相続時に再評価

納税時期

贈与を受けた翌年

贈与を受けた翌年

「暦年課税」は、1年間に発生したすべての贈与に対して課税する制度で、110万円の基礎控除があり、それを超えた金額については累進課税が適用されます。

「相続時精算課税」は、親族間の贈与(60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与)が対象で、110万円の基礎控除とは別に累計2,500万円までは非課税ですが、それを超えた金額については一律20%が課税されます。

贈与額が年間110万円以内の場合、暦年課税制度によって非課税で受け取れますが、110万円を超えた金額については贈与税として確定申告してください。

何千万円といった贈与額になる場合、相続時精算課税制度を選択すると、累計2,500万円までは非課税となり、それを超えて贈与税として支払った金額は相続税から控除されるというメリットがあります。

ただし、相続時精算課税を選択する場合、贈与税の申告時に「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要があるので、留意しておいてください。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

法人・個人間の贈与手続きの際は専門家に相談

贈与の手続きや税務処理は非常に複雑です。法人・個人間で贈与を行う場合、適切な税務処理が求められ、誤った処理や手続きを行うと予期せぬ税負担やペナルティが発生する可能性もあります。

特に法人から個人への贈与は、税法上の規定が厳しく、損金算入限度額や贈与税の計算方法など、細かいルールを理解していることが重要であるため、贈与を検討する際には、専門的な知識と経験を持つ税理士に相談しましょう。

法人・個人への贈与についてのお困りごとやご相談は、ぜひ「小谷野税理士法人」までお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。

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