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消費税の還付申告は税務調査の対象になりやすい?注目される理由と備え方

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消費税の還付申告は税務調査の対象になりやすい?注目される理由と備え方

消費税の還付申告を行うと、税務署から調査対象となりやすいと言われています。国税庁の統計でも、還付申告に対する実地調査が多く行われ、追徴課税が発生している事例も報告されています。では、なぜ還付申告は注目されやすいのでしょうか。本記事では、調査で確認される主なポイントや過去の事例、そして事前に準備すべき対策についてわかりやすく解説します。消費税の税務調査に不安を感じている方は最後までご覧ください。

消費税の還付申告は税務調査の対象になりやすい?

消費税の還付申告は「税金が戻る」仕組みであることから、不正防止の観点で税務署が重点的に確認しているため、税務調査に入られるケースが多いと言えるでしょう。

調査は、机上確認や電話照会で済む場合もありますが、内容によっては実地調査に発展するケースもあります。ただし、消費税だけを対象とした単独調査は行われず、法人税や所得税など他の税目とあわせて実施されるのが通常です。

国税庁の統計によれば、令和3年7月~令和4年6月に消費税の還付申告を行った法人に対して、約4,300件の実地調査が行われ、追徴税額は約372億円に達しており、添付書類の不備などがあると還付金の支払いが長期間保留されるケースもあることから、還付申告は厳格に確認される手続きであると分かります。

参考:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

参考:消費税還付申告に関する国税当局の対応について | 国税庁

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消費税の還付申告が税務調査で注目されやすい理由

消費税の還付申告は、すべてが調査対象になるわけではありませんが、特定のケースでは特に注目されやすくなります。なぜ税務署が還付申告に目を光らせるのか、その理由を見ていきましょう。

赤字決算で不自然な還付が生じるため

利益が出ていないのに消費税の還付が生じると、不自然に見られて調査対象になりやすくなります。これは、帳簿や処理の正確性に疑問を持たれやすいためです。

国税庁の統計でも、赤字決算法人の還付申告は重点的に確認されていることが示されています。

参考:令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

大規模投資で還付額が膨らみやすいため

新規事業や大規模な設備投資に伴う仕入税額控除は、還付額が大きくなりやすいため調査で注目されます。金額が大きいほど不正還付のリスクも高まると見られるため、投資内容や契約の実在性が厳しく確認されます。

国税庁の公表資料でも、大規模投資に基づく還付は入念にチェックされると示されているので注意しましょう。

参考:消費税還付申告に関する国税当局の対応について | 国税庁

輸出取引で免税扱いとなるため

輸出取引は免税扱いとなり、仕入税額控除の影響で還付額が膨らみやすいため調査で重視されます。国内課税がかからない分、還付額が大きくなる傾向があるためです。

国税庁が公開している情報でも、輸出は免税対象であることが明記されており、調査で重点的に確認されているのが分かります。

参考:No.6551 輸出取引の免税|国税庁

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消費税の税務調査で確認される主なポイント

税務調査、リサーチ

消費税の税務調査では、申告に誤りや不正がないかを確認するために、さまざまな角度から取引や書類がチェックされます。特に以下のポイントは重点的に確認されるため、日頃から意識して準備しておきましょう。

申告書と帳簿の整合性

消費税申告書と決算書、帳簿の数値が一致しているかは、調査で最初に確認されるポイントです。

数値に矛盾がある場合、単なる計算ミスではなく取引内容や処理過程そのものに問題があるのではと疑われ、詳細な調査に発展する恐れがあります。

請求書・契約書による仕入税額控除の確認

仕入税額控除が正しく行われているかは、消費税調査の中心的な確認ポイントです。特にインボイス制度の導入後は、適格請求書の保存が控除要件となっているため、記載内容に不備があればそれだけで控除が否認される可能性があります。

さらに、契約書や関連資料が揃っていないと「実態のない取引」と判断され、追徴課税の対象になるリスクが高まります。

参考:No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿および請求書等の記載事項|国税庁

非課税・免税取引の区分

課税取引と非課税・免税取引の区分が正しく処理されているかも調査の大きな焦点です。例えば、輸出取引は免税扱いとなりますが、処理を誤れば還付額が過大になり、是正を求められる可能性があります。

また、非課税取引の範囲を誤解して処理してしまうと、納税額に直接影響が出るため、調査で厳しく確認されるでしょう。

国税庁も「非課税と免税は異なる概念である」と明示しており、適切な区分処理が必要です。

参考:No.6205 非課税と免税の違い|国税庁

設備投資の実態確認

大規模な設備投資や仕入れに伴う仕入税額控除では、実際に投資が行われたかどうかを裏付ける証拠が求められます。

契約書や請求書が揃っていても、支払いが実態に伴っていなければ不正還付と見なされる恐れがあるため、投資の存在を示す物理的証拠や支払記録を準備しておきましょう。

架空仕入や回収不能売掛金

実態のない仕入や、回収不能な売掛金の処理方法も確認されます。特に還付申告の際には、不正還付や課税逃れを防ぐためにこうした不自然な計上が重点的にチェックされます。

取引の実在性に疑問がある場合、調査官は契約書や請求書、入金記録などを突き合わせて確認を行います。

参考:通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ|国税庁

過去の税務調査事例から学ぶ注意点

過去の調査事例からは、申告の仕組み上見落としやすい点や判断の誤りによって追徴課税に至ったケースが報告されています。同じ失敗を繰り返さないよう、事例から学び、日頃の処理に生かしましょう。

加入組合会費の処理を誤ったケース

加入している組合の会費を、課税対象か不課税かの区分を誤って処理した結果、追徴課税を受けた事例があります。

会費は一律に不課税となるわけではなく、その性質や提供されるサービスの内容によって課税か不課税かが異なります。

このケースから学べるのは、組合費などの支出を処理する際には必ず契約内容や取引実態を確認し、課税区分を正しく判断する必要があるという点です。

法人クレジットカードの利用を誤ったケース

法人カードで支出した費用を仕入控除の対象として処理したものの、実際には控除対象外の取引が含まれていたため、調査で修正を求められた事例があります。

カード明細をそのまま経費処理してしまうと、消費税の控除要件を満たさない取引まで控除に含めてしまうリスクがあります。

このケースから学べるのは、カード利用明細を単純に仕訳するのではなく、各取引ごとに仕入税額控除の対象となるかどうかを確認することの重要性です。

海外経由の国内販売を誤ったケース

海外を経由した取引をすべて輸出免税として処理したところ、実際には国内販売と判断され、課税区分を修正された事例があります。

海外を経由していても、日本国内で消費される取引であれば輸出免税は適用されません。この事例から学べるのは、契約内容や商品の流れを正確に把握し、実態に基づいて課税区分を行うことが不可欠だという点です。

単純に「海外経由=免税」と考えるのは誤りなので、慎重に判断しましょう。

免税期間中の回収不能売掛金を誤ったケース

免税期間中に発生した売掛金を課税事業者の期間中に回収不能になった際、その処理を誤ったことで追徴課税を受けた事例があります。

課税事業者であっても、売掛金の処理を安易に課税扱いとするのは適切ではなく、区分を正しく行う必要があります。

このケースから学べるのは、売掛金の回収可否に応じて適切に処理しなければならず、処理を誤ると大きなリスクに繋がるという点です。

税務調査に備えて行うべき具体的な準備

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税務調査を完全に避けることはできませんが、事前の準備次第でリスクを減らすことはできます。そのために意識しておきたい準備のポイントを紹介します。

帳簿・証憑を正しく整備する

帳簿や請求書・領収書を正しく整備しましょう。これは税務調査への対応における最も基本的かつ重要な準備です。

特にインボイス制度の導入後は、適格請求書の保存が仕入税額控除の必須要件となっており、形式的な不備があるだけでも控除が否認されるリスクがあります。

日常的に帳簿や証憑を整理・確認しておけば、調査時に慌てることなく対応でき、追徴課税の可能性を減らせるでしょう。

輸出・免税取引の証明資料を揃える

輸出・免税取引の証明資料を必ず揃えましょう。これらは還付額が大きくなりやすいため、調査で特に注目されやすい部分です。契約書や輸出証明書といった根拠資料をあらかじめ準備しておけば、調査時にすぐ提示でき、不備によるリスクを軽減できます。

証明資料が不足していると取引の正確性に疑義を持たれる恐れがあるため、取引実態を示す書類を整理し、必要に応じて第三者の証憑も備えておきましょう。

自己診断チェックリストで申告内容を点検する

自己診断チェックリストで申告内容を点検しましょう

還付申告を行う前に点検しておけば、誤りや不足を事前に発見・修正でき、調査対象となるリスクを大幅に下げられます。特に仕入税額控除の計算や取引区分の処理などは誤りやすいため、自己点検で確認しておく必要があります。

大きなトラブルに発展するのを防ぐためにも、申告前の最終確認を徹底して行いましょう。

税務署からの連絡に迅速かつ適切に対応する

税務署からの連絡には迅速かつ適切に対応しましょう

連絡を無視したり先延ばしにしたりすると、調査が不利に進む可能性があります。必要に応じて税理士に相談することで、対応方針を誤らずに済み、余計なトラブルを防げるでしょう。

調査に入る前の段階で適切な対応を取れるかどうかが、その後の進行や結果に大きく影響するため、冷静で迅速な対応を心がけてください。

消費税の税務調査に関するよくある質問

FAQ

消費税の税務調査について、納税者からよく寄せられる質問を取り上げます。実際に調査を受ける際の備えとして参考にしてください。

還付申告をすると必ず調査されますか?

還付申告をしたからといって、必ず税務調査を受けるわけではありません。ただし、還付額が大きい場合や取引に特殊性がある場合は、不正防止の観点から調査対象となる可能性が高まるので注意してください。

机上確認や電話照会で済む場合もあれば、実地調査に発展するケースもあります。

調査ではどのような対応姿勢が求められますか?

税務調査に臨む際には、調査官の質問に正確に答える姿勢が重要です

不明点を曖昧にせず、わからない場合は正直に「わからない」と答える姿勢が信頼に繋がります。無理に取り繕うと誤解を招き、余計な指摘を受ける原因になるので注意しましょう。

税務調査の通知はどのくらい前に来るのですか?

通常、税務調査の通知は実施の1〜2週間前に電話や書面で行われるのが一般的です。事前に準備期間が設けられるため、その間に帳簿や証憑を確認して対応できるようにしておきましょう。

ただし、帳簿隠しや改ざんの恐れがあると判断された場合には、予告なしで「無予告調査」が行われる場合もあるので注意してください。

参考:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)|国税庁

消費税の税務調査で不安がある方は専門家に相談

消費税の税務調査は、わずかな不備でも追徴課税や延滞税につながるリスクがあります。特に還付申告を行う場合は、税務署の注目度が高く、事前準備や正しい知識が欠かせません。

こうしたリスクを避けるためには、専門家のサポートを受けるのが有効でしょう

小谷野税理士法人では、豊富な実務経験を持つ税理士が、調査対応や還付申告におけるリスク回避を丁寧にサポートします。消費税の税務調査に不安を感じる方は、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。

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この記事の監修者
池田 大吾小谷野税理士法人
カルフォルニア大学アーバイン校卒業、大手生命保険会社勤務を経て2007年小谷野税理士法人に入社。
会計、税務、経理実務の支援業務から各種補助金の相談・申請業務、企業及び個人のリスクマネジメントのコンサルタント業務を行う。
銀行はじめ多くの金融機関、会計・税務・財務業界に多くの人脈を持ち、企業財務のマルチアドバイザーとして活躍。
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